1995年に発生した阪神淡路大震災で、多くの歴史的建造物等が失われた教訓を踏まえ、兵庫県で歴史的建造物に関わる建築士の専門資格である「ヘリテージマネージャー(HM)」の養成が2001年より始まりました。
東京においては、現存する歴史的建造物は江戸期以降のものがほとんどで、なかでも明治以降の「近代」のものが多くを占めています。震災と戦災という二度の災禍を乗り越え、今なお多くの建造物が残されていますが、「記憶を残すこと」に不熱心な東京においては、その数は加速度的に減少しています。
東京は広く、多様であり、人口や産業の集積地としてのイメージが先行しますが、島しょ部もあれば山間部もあり、超高層建築もあれば茅葺の民家もあります。こういった多様な存在に対して、ヘリテージとしての評価や持続性を、いかに獲得できるか、その答えは簡単に出せないし、出すべきでもありません。
「東京ヘリテージマネージャーの会」が、この回答を模索するため、HM・建築士だけでなく、市民や専門家とも連携し得るプラットフォームとなること。その可能性を念頭に、まずはHM自身の資質向上と、その職能の確立に向けての努力を、仲間と共に進めます。